01相続登記とは
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった場合に、その不動産の登記名義を被相続人(亡くなった方)から相続人へ名義の変更を行なうことをいいます。
すなわち、被相続人名義から相続人名義へ登記申請することによって、所有者が変わるということです。
相続登記は法律上の期限を決められているわけではありません。
よって、相続登記をせずに放置していてもなんの罰もありません。
ただし、問題は別にあるのです。
02相続登記を放置すべきでない3つの理由
相続登記は義務ではありませんが、放置することで発生するデメリットには厄介なものが多いです。トラブルに発展することもあるので確認しておきましょう。
(1)相続関係が複雑になる可能性があるから
相続登記をしない間に他の相続人が亡くなった場合、手続きが複雑になる可能性があります。
相続登記するまでは、相続人全員が法定相続分に応じて不動産を共有している状態です。
相続人のうちの誰かが亡くなった場合、その相続人が持っていた権利は妻や子供などにうつります。
上の図のように相続人AとCが持っていた権利は、それぞれ相続人E、F、G、Hにうつります。
このように、時間の経過で相続人が増えることがあるのです。
遺産分割協議で相続登記をする場合には、相続人全員の同意と印鑑証明書が必要であり、相続人が増えるほど同意を得て協議をまとめるのに苦労するでしょう。
(2)不動産を売却し現金化したり、担保を設定してお金を借りることができない。
相続した不動産を売却したい、担保にしたいという場合は所有権について登記しないといけません。
亡くなった方が持っていた不動産を相続人が引き継いだとして、他の方にはわからないですよね。
『不動産の所有者は自分ですよ』と知ってもらうために登記をする必要があるのです。
不動産のような高価なものを所有者なのかはっきりしない人からは買えないですし、所有者がわからないと誰に不動産を売ってくれと言えばよいのかわからなくて困ってしまいます。
登記手続きには必要な書類を用意するだけでも時間がかかります。せっかく不動産の買主が見つかったのに、登記が終わっていなかったせいで、売れなかったということにならないよう注意しましょう。
(3)不動産を差し押さえられることがある。
相続人のなかに借金がある人がいて支払いが滞っている場合、債権者に不動産の相続持分を差し押さえられてしまうかもしれません。
不動産は遺産分割協議が終わるまで、共同相続人が法定相続割合に応じて共有している状態です。債権者は借金がある相続人の法定相続分を差し押さえることができます。
遺産分割協議が終わっていた場合でも相続登記を済ませていなければ、差押えをした債権者に不動産が自分のものだと主張することはできません。(民法909条)で遺産分割の効力は第三者の権利を侵害できないと定められているからです。