01自己破産とは

自己破産とは、裁判所に「破産申立書」を提出して「免責許可」というものをもらうことで、養育費や税金などの非免責債権を除く、全ての借金をゼロにするという手続きです。

自己破産ができるのは、「支払い不能」という状態になった場合です(破産法2条11項(※))。

「支払い不能」というのは、分かりにくい言葉ですが、要するに、現在持っている資産や、今後得られる収入などから総合的に判断して、債務のすべてを完済することが不可能であろうと考えられる状態のことです。

「どのぐらいの債務があったら自己破産できますか?」というご質問をいただくことがありますが、債務がそれほど多くない場合であっても、資産がなく、今後も収入がギリギリ生活できる程度しか見込めないような状態であれば、自己破産が認められる可能性があります。

支払い不能かどうかは、裁判官が、債務者の負債の額や収入、資産の状況等から総合的に判断します。

ただし、支払い不能の状態であったとしても、借り入れの原因のほとんどがギャンブルや浪費である場合など、「免責不許可事由」があると、免責が許可されないこともあります。

※破産法第2条11項(一部省略)
この法律において「支払不能」とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態をいう。

 

 

02自己破産のメリット・デメリット

メリット デメリット
01

全ての債務の支払い義務が免除されます。わゆる「ブラックリスト」)

01

借入が今後約5~10年間できなくなります。
(いわゆる「ブラックリスト」)

02

手続開始後は債権者は強制執行(給料差し押さえ等)ができなくなります。

02

住所氏名が、「官報」という国が発行する機関紙に掲載されます。

03

ある程度の財産は、手元に残すことができます。警備員や士業など一部就けない職業があります。

03

免責決定を受けるまで、警備員や士業など一部就けない職業があります。

 

 

03自己破産(同時廃止)の手続きの流れ

ステップ1 ご相談・自己破産の手続きのご説明

事務所でご相談をお聞きします。自己破産のデメリットや手続き費用、今後のスケジュールについてご説明します。

ステップ2 受任通知・債権調査

債権者に対して、「受託通知及び債権調査へのご協力のお願い」を発送します。これにより、債権者からの取立てがストップします。

ステップ3 破産申立に必要な書類準備

自己破産申立に必要な各種書類を揃えて、事務所にお持ちいただきます。

ステップ4 自己破産申立

お持ちいただいた書類をもとに、司法書士が自己破産の申立書を作成し、管轄の地方裁判所に提出します。

ステップ5 免責決定

免責決定が確定すると、すべての借金を返済する義務がなくなります。

 

04免責にならない場合とは?

自己破産の申し立てをしても、債務の免責(免除)が認められない場合があります。

どのようなケースで免責が認められないのかについては、破産法に規定されています。
破産が認められない事由のことを、「免責不許可事由(めんせきふきょかじゆう)」といいます。

たとえば、「特定の債権者に対してだけ偏った弁済を行った場合」や「浪費やギャンブルが原因で、大きな借金をしたこと」は、免責不許可事由とされています。

また、「破産申立てにあたって、財産があるのに、財産を隠したこと」も、免責不許可事由とされています。その他、免責不許可事由については、破産法252 条に規定されています。

免責不許可事由がある場合でも、その程度があまり重くないのであれば、裁判官が裁量で免責を認めてくれる場合があります。実際に、免責が不許可となるケースはほとんどありません。